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古川柳男色事情走書    南 ツカサ

其の六十:見栄っ張りの事

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  「武士は食わねど高楊枝」と言いますが、男子たるもの見栄を張る時には見栄を張りたいもの、らしいです。その心意気は買ってあげたいものですが、それを他人に吹聴したりするので、失笑を買うことも度々ありますね。
  今回はそんな男子の見栄っぱり具合を鑑賞してみましょう。

とんだよがりやうへのこを吹出し

  「俺のテクニックの良さによがりまくって、何度も中断したんだぜ」という自慢です。実際に「気持ち良くておかしくなりそう!」と受けが快楽ゆえに、男根を抜いたのかもしれませんが、実は激しく攻め立てる腰つきに「痛いっ」と思って途中休憩するために抜いたのかもしれません。激しく突けば相手が気持ちいいものだと勘違いしている御仁も多いですからね。受けが陰間の場合、お客相手に「痛い」とは言えませんから、お客が気を悪くしないような言い方をしたのかもしれないです。それを、さも「俺様のテクニック」と思い込んでいるおめでたい発言ですね。

嘘をこきまぜあれもしたこれもした

  この句は「嘘」とはっきり明言されていますので、見栄っぱりな男の話を聞いている側が作ったものでしょう。「あんなプレイやこんなプレイもしたんだぜ(だから羨ましいだろう)」と得意げな顔つきで話しますが、聞き手には完全にバレています。艶話をしたいなら、素直に実際の出来事だけを話せばいいのに、何故話を盛ろうとするんでしょうか。「自分だけが特別なサービスを受けているのだ」という優越感を感じたいんでしょうかね。嘘だとバレていれば、優越感どころか馬鹿にされるだけなのに。謎です。

せつない口説きようおつつけるばかり

  最後は、見栄をかなぐり捨てた句で〆ましょう。「おつつける」とは、「挿入はしない、穴に押し付けるだけだから」という意味です。口説いても口説いても落ちない男子に、最後の挿入はしないから、そこに至るまでの愛撫はさせて欲しい、と迫っている句です。確かに切ない口説きようですが、むしろその必死さが健気に感じませんか。

  見栄を張ることは時に大事ですが、つまらない見栄は「男っぷり」を落とします。スマートな見栄を張ってこそ、「粋」と呼ばれる人になれるというものです。

コラム「古川柳男色事情走書」著者プロフィール
南 ツカサ(みなみ・つかさ)  Twitter

古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。

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