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ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❻

『クインティ』そして『ジェリーボーイ』杉森 建 編

第5回:死ぬまでに作ってみたいゲームのこと

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影:鈴木昭寿
※編集:山本直人(株式会社アンビット)
取材協力:株式会社ゲームフリーク
杉森さん写真 ゲームフリーク受付口にて、杉森さん

■ドット至上主義というわけではないんです

──わたしの勝手な考えで「杉森さんはドット絵好き」だと思っているのですが、それは間違ってないですよね?

杉森 ええ、もちろん。

──そのことをご自分ではどう分析されます? ドット絵に限らず、それを含めたレトロゲーム的なもの、ということでもかまいませんが。

杉森 無駄のなさ、みたいなところがカッコいいというか。

──なるほど。ノスタルジーはどうですか? それこそアマチュア時代にゲームフリークの仲間でワイワイとやっていた頃への郷愁とか。

杉森 それもありますよ。そういう16ビット感のあるゲームは、いちばん多感な時期に吸収したものですから、いまでも変わらず好きです。

──最近の3Dゲームというか、やけにCGが滑らかな、ほとんど実写のようなゲームについてはどう思われます?

杉森 ああ、ぼくはそういうのを受け付けないかっていうと、そんなことはないです。古いのも、新しいのも、両方やるタイプなので。ドット至上主義というわけではないんです。

──杉森さんに限らず、いまはゲームレジェンドというイベントなんかもあったりして、レトロゲームを愛でる人たちが増えていますよね。そういう動きに関してはどうですか?

杉森 そうですね、おもしろいことになったなあと思ってますよ。それこそ若い人がドットの粗いゲームを作るようになったりしていて。

──ファミコン時代を知らない若い人たちが。

杉森 そう、世代じゃないのに作るでしょう? その流れは非常におもしろいことだなと感じます。

──ドット絵のゲームで、生涯これ一本! というのは何かありますか? ゲームタイトルでなくても、愛着のあるキャラクターとか。

杉森 うーん……、すぐには出てこないな……。

──ウケることを言おうと考えてますか。

杉森 いやいや(笑)、そういうわけじゃなくて。

──やっぱりパックマンのこのデザインがカッコいい、とか。

杉森 いや、あの4色しか使えなかったような時代のドット絵の表現はすごいんですけど、ぼくが好きなのはもう少しあとの時代。16色くらいのドット絵が、ちょうどいい感じがして好きなんです。色が多すぎてもよくないし、少なすぎても寂しいっていうところが。

■ぼくは遊びながら集中するタイプなんです

──ちょうどいい、という感じはよくわかります。わたしもメガドライブやスーパーファミコンの初期の頃のグラフィックが好きです。

杉森 スーパーファミコンも後期になってくると、グラフィックが写実的になったり、実写の撮り込みなんかが出てくるようになったりして。

──ハードウェアの研究が進んで、性能を限界まで引き出せるようになったからでしょうね。では、ここで杉森さんの仕事のスタイルと、今後のことについても教えてください。

杉森 仕事のスタイル?

──いま、一日の仕事の進め方って、どんな感じですか。わたしの記憶では、広いフロアーの一角に杉森さんの席があって、その周りには他のスタッフがいる。それはいまも変わらず?

杉森 変わらないですよ。

──そこで終日作業をしている?

杉森 そうですね。ぼく個人の作業もありますし、人の描いたものをチェックするっていう作業もけっこうある。

──若いころとは立場も違ってきてるでしょうから、絵だけを描いていればいいわけではないんですね。

杉森 アートディレクターとしての役割りがあるので、グラフィック・スタッフが描いたものチェックしたり、修正の指示を出したり、そういう仕事が比重としては多いですね。

──出社時間は11時くらいでしたっけ?

杉森 そうです。11時に出社して、夜10時過ぎくらいに帰る感じでしょうか。

──その間は、ひたすら仕事をしている?

杉森 まあ、けっこう、ダラダラしてますよ。ぼくは遊びながら集中するタイプなんです。

──知ってます(笑)。

杉森 ハタから見れば遊んでいるのと変わんないでしょうけど、けっこうゲームをやりながら頭の中でいろんなことを考えてるんですよ。あのデザインはこうしたらいいんじゃないか、とか考えていて、テンションが上がってきたらコントローラーをバンって置いて作業に取り掛かる、みたいな。

杉森さん写真
『ポケットモンスター』シリーズをはじめ、アートディレクターとして多くの作品を監修する杉森さん。
後ろにはゲームフリーク制作の作品がずらり。

■女の子が主人公のアクションゲーム

──では、具体的なタイトルは挙げなくてかまわないので、今後のことについて教えてください。

杉森 そうですね。よく「これから作ってみたいゲームはなんですか?」ときかれることが多いんですけど、そういうのはもうなくなってしまったなあ、と思っていたんですよ。

──そうなんですか? まず、ここまで大きくなった『ポケモン』を守り続けていくという役割りは大前提としてあるでしょうけれど、まさしくいま伺いたかったのは、その『ポケモン』以外に作ってみたいものとは? ということだったのですが。

杉森 それが、意外となくなってしまっていたんですよ。でも、最近ちょっと思い出したことがあって、それは「女の子が主人公のアクションゲーム」。昔、そういうのを作りたいねって話をしていたのを思い出しまして。

──えっと……『振袖ファイターお京』だ!

杉森 それそれ! あの頃、サンプル画面を描いたじゃないですか。

──あの夢はまだ捨ててませんでしたかー。

杉森 そう、あの夢があったぞ、って。

──わたしも今日までそんなこと忘れてましたが、言われて一瞬でタイトルを思い出しました。

杉森 あのサンプル画面って『マリオペイント』で描いたんですけど、プリントアウトしたものが、まだどこかに残っているはずです。

──見つかったら、ぜひ送ってください。

『振袖ファイターお京』のサンプル画面
後日、杉森さんから送っていただいた『振袖ファイターお京』のサンプル画面。容量に「2万6メガ」などと書いてあるのは、当時、ネオジオのCMで「100メガショック」と謳っていたことへのパロディである。

杉森 それをいつか作れたらいいな……と思ってます。

──会社の立場的には、やろうと思えばできるんじゃないですか?

杉森 ちゃんと黒字になるという保証があればできるんですけど、まあ難しいでしょうね。

──杉森さんがディレクションした『スクリューブレイカー』は、女の子が主人公のアクションゲームだったじゃないですか。

杉森 そうなんですけど、あれはぼくがキャラクターデザインをしていないですからね。いつかは、自分でプレイヤーのドットを打って、よく動くアニメーションのゲームが作れたらいいな、と思います。まあ、死ぬまでになんとか、って感じです。

──わたしも、いつかそれを遊んでみたいです。ありがとうございました。

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