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ファミ熱!! ゲームの匠

ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❺

こだわり過ぎる会社 インディーズゼロ 編

第5回:ゲームが好きな気持ちを次の世代に継承する

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影:鈴木昭寿
※編集:山本直人(株式会社アンビット)
取材協力:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
     有限会社インディーズゼロ
インタビュー終了後、全員で記念写真 インタビュー終了後、全員で記念写真

■当時の再現ではなく、美化を目指す

──ゲームの仕上がりを見て、番組スタッフの皆さんはどういう感想を持たれていましたか。

鈴井 喜んでいただいてたと思いますよ。有野さんもすごい遊んでくださったようですし。ただ、ひとつだけ残念なのは、1作目での『ラリーキング』がちょっと難しかった。ぼくらは開発中にすっごいやり込んでるから、簡単に感じてしまうんですね。

──アクションゲーム開発の「あるある」です。

鈴井 いまだに申し訳ない気持ちでいっぱいで。裏ワザとして無敵モードとかも入れてあるから、それを使えば絶対にクリアはできるはずなんですが、APの飯田さんや、カメラの阿部さんに「あそこでやっぱり詰まっちゃいました〜」って言われると、そのたびに落ち込んで。

──万人が満足のいく難度というのはあり得ませんから、仕方ないですよ。

鈴井 それで、海外版を作る際に、方向キーを入れたとき1フレームで曲がる回転度を1度足したんです。そうしたら誰もが気持ちよく遊べるようになった。たったの1度! 2だったのを3に変えただけで。ああ、最初から1度足しておけばな〜、と。それで2作目に収録した『ラリーキングex』では海外版と同じ数値を設定したので、遊びやすくなりました。そういう反省は全部2作目に活かされています。

田中 有野さんが、番組で『忍者龍剣伝』を攻略していたときに、何度も鳥に当たって死んでいたので、『ハグルマン3』でもそれと似たような状況が起こる敵キャラ配置になってるんですね。嫌なところに鳥が出てくるように。

鈴井 田中が思いの丈をぶつけたマップ設計になっている。その作業はけっこうパズルっぽいですね。当時『悪魔城ドラキュラ』とかでもあったでしょう? 「うっ」てなるやつ。

──ありました! シモンが「うっ」てなるやつ(笑)。

田中 それを再現したら、いまのユーザーには難しすぎるって言われてしまって。

鈴井 かなりユルめにしようよ、って。当時の再現ではなくて、もっと美化するべきなんですよね。それを目指して易しくしたつもりだったんだけど、それでもまだ足りなかった。それだけが10年経っても心残りで。

『ハグルマン3』のステージ3マップ仕様
『ハグルマン3』のステージ3マップ仕様。パズル要素の強いステージになっており、構成が複雑なだけでなく、仕掛けを見極めないといけない。

──逆に言えば、いまでも心残りが続くほどおもしろかった、ということかもしれません。

鈴井 ちょっと前の年末にお台場のレゴランドへ行ったんですけど、そうしたら主婦の人かな? 行列してる女性が『有野の挑戦状』をやってたの。ちょっとびっくりした。いま何年だと思ってるの? って。ほんとにありがたいことです。ここまで話をしてきたらもうお気づきかもしれませんが、同じような仕事をまたやれって言われてもできないと思う(笑)。あのときだからできたんでしょうね。

■VR技術で有野さんの部屋を再現したら?

──『ゲームセンターCX』のゲーム化は、3作目に相当する『ゲームセンターCX 3丁目の有野』というのがありますね。これの開発をインディーズゼロさんが請け負わなかったのは何か理由があるんでしょうか?

鈴井 タイミングが合わなかったというのが、いちばん大きな理由ですね。「3作目も……」というお話はいただいていたんですが、そのときは別のタイトルの制作が進行していて、どうスタッフをやりくりしてもお引き受けすることができなかった。

──そうか、少人数の会社ですもんね。

鈴井 いろいろと考えてはいたんですよ。前2作でソフトとハードの歴史をやったんだから、次は何やるかっていうと、じゃあ有野さんになりきるためのトレーニングをするソフトはどうだろうとか、番組で有野さんが挑戦したゲームを『ファミコンリミックス』みたいな感じで遊ぶとか。でも、やはりスケジュール的にどうしても無理だった。

──ゲームに限った話ではないと思いますが、こういう何かが生まれるときって、ほんとタイミングが大事なんですね。

鈴井 もしも次にチャンスがあるなら、VRでありの少年のゲーム部屋を再現する、なんてことはやってみたいですね。VR空間の中でゲームをプレイしていると、ありの少年がツッコミを入れてくる。

──「ガメオベラ!」って(笑)。

ゲームオーバーになってしまうとありの少年が「出た、ガメオベラ」とツッコミを入れてくる。
ゲームオーバーになってしまうとありの少年が「出た、ガメオベラ」とツッコミを入れてくる。

鈴井 まあ、それは半分冗談ですけど、でも架空の有野さんの部屋でレトロゲームをプレイしながら、かたわらには有野さんがいてちょっかいを出してくる……というシチュエーションはグッときませんか?

──いいですねえ、VR技術の無駄づかいっぽくて!

■悩み抜いて作ったものはお客さんに伝わる

──では、最後になりますが、会社としてこれから目指すところをおきかせください。たしか、何かのインタビューで鈴井さんは「ぼくらの作ったゲームが、子供たちがモノ作りに興味を持つきっかけになったら最高です」とおっしゃっているのを読みました。今回のインタビューでも最初にちょっとそのへんのことに触れていただきましたね。

鈴井 ぼくはあんまり嘘がつけないんで、「人狼」でも狼ができないんですけど(笑)、逆に言えば自分がやってきたことはいくらでも喋ることができる。それは誰でもそうだと思いますが、やってないことは話せないじゃないですか。

──ええ、そうですね。

鈴井 やっぱり自分たちがいいかげんな気持ちで作ったゲームはいいかげんなものにしかならないし、細かいところまで思い入れを込めて作ったものは、「ここはなんでこうなってるの?」ってきかれたら、ちゃんと答えられる。当たり前のことなんだけど、それくらい自分たちでちゃんと悩み抜いて作ったものは、きっとお客さんに伝わると思っています。

──作り手の志は、作っているゲームに反映される。

鈴井 そういうのを子供たちが見てくれて、ゲームっていいよね、おもしろいね、って感じることで、いつか大人になったときに「子供の頃に遊んだあのゲームみたいなものをぼくも作ってみたい」って思ってくれる。そういう気持ちが継承されていったらいいなあ、と思っています。実際、ぼく自身も子供の頃にバンダイのおもちゃとかファミコンを楽しんで育ってきて、それが自分のモノ作りの原動力になっているわけです。

──そうですね。ゲームを作っている人たちって、少なからずみんなそういう気持ちを持っていると思います。

鈴井 だから、いまの子供たちにも同じように……、まあ時代は違いますからぼくらのときとやり方は変わるでしょうけれど、ゲームを楽しんで、将来はぼくもゲームを作るぞ! って思うような、そういうことに少しでも協力できたらいいなという気持ちは本当にあります。

──自分がおもしろいと思うものを作る。おもしろいと思わないものは作らない。先ほどのプレゼン資料からも、それは十分伝わってきました。鈴井さん、めっちゃめちゃ楽しんで仕事してるんだな、と(笑)。

鈴井 そうですねえ。ま、わからないもんを、わかる努力をして作るのは全然アリなんですけど、ぼくは恋愛シミュレーションを作ってくれって言われても作れる気がしません(笑)。人から言われた仕事はやらないよとか、そういうつもりじゃなくてですね、受け入れるつもりはたくさんあるんですが、不得意な分野を「仕事だし」「お金になるし」って引き受けてしまうと、どうしてもそれが製品の完成度にも表れてしまう。もちろん、そういうジャンルが大好きで、得意なメンバーがいるなら、そういうものも作って全然かまわない。でも、とりあえずいまうちの会社は、ぼくたちがゲームを大好きな気持ちを次の世代に継承していく。そんなものを作っていきたいと考えています。

●『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』
ⒸFUJI TELEVISION ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.
●『ゲームセンターCX 有野の挑戦状2』
ⒸFUJI TELEVISION ⒸBANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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