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ファミ熱!! ゲームの匠

ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❹

ユウラボさん

第5回:懐かしさを売りにするのではないゲーム表現

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影・編集:山本悠作(アンビット)
※取材協力:株式会社MEGAROAD

ピコンティア
『ピコンティア』
ⒸSKIPMORE/Kan-Kikuchi/Flyhigh Works/CIRCLE Entertainment

■現代風の表現として脈々と続くドット絵

──ユウラボさんにとって「生涯これ1本!」というゲームはなんですか?

ユウラボ うーん、ここは『ハイドライド』と答えるべきのような気はしますが、この1本っていうのが思いつかなくて。もちろん『ハイドライド』には確実に影響を受けてますけど。

──では、いま気になっているゲームは? できれば「このゲームのドット絵がいいんですよ!」みたいな感じで答えていただけると嬉しいんですが。

ユウラボ 海外のSTEAMっていうサイトがありまして。PCゲームをダウンロード販売しているプラットフォームサイトなんですけど、そこに上がっているドット絵のゲームが刺激的です。作者たちがツイッターにいて、彼らからも影響を受けてます。

STEAM
世界中の商業ゲームやインディーゲームを遊べるSTEAM。
ドット絵の新作ゲームもたくさんラインナップされています。

──STEAMでドット絵のゲームを探すのは、どうやって検索するんですか?

ユウラボ ツイッターで作者たちをフォローしていると、作ってる過程を逐一見せてくれるので、そこから広がっていきます。彼らも元々は何かに影響を受けて、「いまならドット絵でこういう表現もできるよね」みたいな感じで作っているので、その辺で共感できる部分が多いんです。

──そうか、ユウラボさんみたいな人が世界中にいるんだ(笑)。ゲーム機の性能が上がって、ゲームのグラフィックはどんどんリアルで緻密なものに向かっているけど、それとは別にドット絵のゲームを愛してる人たちがいる。

ユウラボ スマホが普及して、コンパクトなアプリならひとりでも作れるし、そこにドット絵っていうのは適してるんですよ。それは海外でも同じで、ドット絵が現代風の表現として脈々と作られ続けている。特定の誰かということではなくて、そういう現象そのものに影響を受けますね。

──それはとてもいい話ですねえ。わたしなんかは80年代のファミコンのドット絵に興味を惹かれてこの道に入り、しばらくゲームを遊んだり、作ったりすることにのめり込んだわけですが、ゲーム業界全体がリアル思考に向かっていくことに馴染めなくて、その世界から離れたんです。でも、ユウラボさんのお話をきいていると、ちょっとまたこの世界に戻ってみたくなりました(笑)。

ユウラボ ただレトロなだけじゃないところもいいんですよ。あの当時にはあまり見かけなかったパーティクルとか、いまの技術表現もあって。みんな基準以上のすごいものを見せようという勢いで作っていて、見ていてすごく楽しいですね。

■日本のゲームと海外のゲームのいいところを合わせる

──いまの話を受けて「いま海外でドット絵のゲームが人気!」なんて言い切っていいのかわからないけど、かなり驚きましたし、意外な印象を受けました。そのあたり、ユウラボさんご自身ではどう分析されます? なぜ、いま海外でこんなにドット絵が人気なんだろうって。

ユウラボ 海外のゲームって、日本人には馴染みのなかった時期がありますよね。クォータービューで、人間が斜めに立っていて、8頭身で、色もちょっとくすんでいて、でも動きがリアル。

──はい、ぼくは気持ちわるくて苦手でした(笑)。

ユウラボ いまはその「動きがリアル」という部分が残って、ビジュアル的なとっつきにくさはなくなってきています。日本のゲームのいいところと、海外のゲームのいいところが合わさっている。ドット絵もファミコンっていう縛りで作ったりせずに、グラデーション入れていいじゃん、光の表現入れていいじゃん、ってやってるんで。

──それは自由ですねえ。

ユウラボ 日本のひとって、ファミコンっぽいものを作ろうってなったときに、キャラクターが4個並んでたら1体消えたりせなあかんのかな、とか(笑)、そっちのほうに行っちゃうでしょう。でも、海外のひとはそっちへ行かず、もうキャラクターを大量に出す。それで動きも細かくつけていく。ドット絵のいいところだけをうまく汲み取ってるんです。

──レトロゲームの様式美を守ろう、っていうことじゃないんですね。

ユウラボ そうなんです。海外はそんなの関係なしです。

──ということは、ユウラボさんも海外のそういった方々に近い考え方で、今後もゲームを作っていく感じですか?

ユウラボ そうですね。様式美に縛られることなしに、そのうえでドット絵を描き続けていくつもりでいます。

■自分が好きだと思うものを作り続けていく

──話せる範囲でけっこうですので、いまどんなゲームを作っているのかを教えていただけますか。

ユウラボ いま作ってるのはNintendo Switch用のゲームで、4月の中旬以降だったら写真も出してもらって全然OKなんですが。

──このインタビューが掲載されるのはそれよりあとですから、大丈夫ですね。

ユウラボ タイトルは『神巫女 -カミコ-』といって、和をモチーフにしたアーケードゲームっぽいアクションゲームです。

神巫女 -カミコ-
ⒸFlyhigh Works/SKIPMORE/Kan-Kikuchi/CIRCLE Ent.
ユウラボさんが今までの自分のドット絵と違う表現にチャレンジしたという新作ゲーム『神巫女 -カミコ-』。

──あ、このグラフィックは輪郭がないんですね。

ユウラボ そうです。海外のドット絵って輪郭がないのがけっこう多いんですよ。最初は海外を意識して、外人名でツイッターのアカウントを作って、外人が日本っぽいゲームを作ってるよ、みたいなおもしろさを狙ったんですが、スイッチで出すことが決まってネタを仕込んでいる余裕がなくなって。スイッチはリージョンフリーだから、だったら思い切り海外受けを意識したグラフィックにしようと。

──見下ろし型だし、剣を振ってるし、ゲームとしては『フェアルーン』に近いですかね。

ユウラボ 謎解きもありますからね。でも、アクション性は強いです。

──いいですね、見てるだけでワクワクする感じの絵です。

ユウラボ それから、こちらのはSTEAMで作ってる『ピコンティア』というゲーム。ホントはこっちを先に完成させるつもりだったんですけど、『神巫女 -カミコ-』が先になっちゃった。

──『ピコンティア』はどんなゲームですか。

ユウラボ まあ『牧場物語』系のものにファンタジー要素を足した感じでしょうか。キャッチコピーは「箱庭系スローライフRPG」です。

ピコンティア
ⒸSKIPMORE/Kan-Kikuchi/Flyhigh Works/CIRCLE Entertainment
STEAM向けに現在鋭意開発中の『ピコンティア』。
ドット絵の味わいはのどかで癒やし系の雰囲気にピッタリです。

──こっちの発売はもう少しあとですか?

ユウラボ そうですね。年内にはなんとかしたいです。まずSTEAMで出して、そのあとコンシューマーなんかにも移植する予定です。

──いやあ、どちらもすごく楽しみです。ドット絵のグラフィックって、懐かしさをアピールしてるものだと受け取るユーザーも多いと思います。でも、ピクセルアートは現在進行形の技術なんですね。教えていただいたSTEAMを見て、そんなことをすごく感じました。ユウラボさんご自身も、懐かしさを売りにしてるつもりではないですよね。

ユウラボ ないです。懐かしさを売りにするんだったら、それこそファミコン縛りとか、MSX縛りで、スクロールも8ドット単位っていうふうに作りますよね。でも、いまはそういうハード上の枷がないのに、自分がそこにこだわるのはあまり意味がない。あくまでも、自分が好きだと思うものを作っているんです。

★記事に登場したゲームの情報★

※Nintendo Switch版『神巫女 -カミコ-』は2017年5月現在、ダウンロード版が発売中です。
※『ピコンティア』は2017年5月現在、STEAM版が開発中です。

ドット絵の匠
インタビューシリーズ❹
ドット絵の新作を作り続ける
ユウラボ 編

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