ファミ熱!!プロジェクト

MENU

ファミ熱!! ゲームの匠

ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❹

ユウラボさん

第4回:たくさんのゲームから影響を受けてきた

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影・編集:山本悠作(アンビット)
※取材協力:株式会社MEGAROAD

ユウラボさん

■仕事場に飾られたサイン入り『ハイドライド』

──普段、どんな開発機材を使ってらっしゃるんですか?

ユウラボ 当たり前のものですよ。ごく普通のiMacとフォトショップ。

──フリーランスだと時間がルーズになりがちですが、仕事の時間配分はどのようにされてます?

ユウラボ だいたい昼から、夜中の2時か3時くらいまで。ただ、プログラマーと組んで仕事をすることが多いので、そのときはコアタイムを3時間だけ決めておいて、その間はスカイプをつないでいます。それ以外は自由ですね。パソコンの前に座っていないとき──テレビを見てたり、買い物に行ったりしているときも、常に作っているゲームのことは考えていて。

──ゲームに限らず、ものを作る人はそういうもんですね。ご自宅が仕事場も兼ねている?

ユウラボ はい。ここに仕事場の写真を持ってきました。

──わあ、すごいスッキリしてる!

ユウラボさん仕事場

──『ハイドライド』が飾ってある……(笑)。ホントにお好きなんですね。

ユウラボ これは内藤さんから直接もらったんですよ。チュンソフトの名古屋スタジオ移転の際に倉庫に眠っていたのを発見したらしくて、それを内藤さんが引き取って、サインと一緒にくれたんです。

──ユウラボさんが、数あるRPGの中から『ハイドライド』にどれくらい影響を受けたのか、そのあたりのこともおききしたいんですが。

ユウラボ あの頃って、ファミコンには『ハイドライド』くらいしかRPGがなかったでしょう。ファミコン雑誌でも『ハイドライド・スペシャル』は見開きで紹介されていて。でも、当時小学生だった自分に買える値段じゃないんで、親に「これはすごいゲームだ」「ファミコン初のロールプレイングや」って熱弁して買ってもらったんです。それで、せっかく買ってもらったものは頑張って最後まで遊ぼうっていう。そういう体験のおかげで、より強烈に刷り込まれてる。

──でも、そのあと『ドラクエ』も出てくるし、『ファイナルファンタジー』も出てきます。たくさん優れたRPGが出てきて、それで興味が上書きされたりはしなかったんですか?

ユウラボ 正直言えば、中学校のときなんかは多少上書きされてましたね。『ハイドライド』タイプのものってそんなに出なかったので。近いものとしては『ワルキューレの冒険』かな。『ゼルダの伝説』はディスクシステムなので、持ってないから遊べないし。

──パソコンゲーム系のアクションRPGって、ザックリ言うと『ハイドライド』派と『イース』派に別れると思うんですけど、『イース』には行かなかったんですか。

ユウラボ 中学のときは『イース』でした。『イース』と『ハイドライド3』が同時くらいなんで、見た目のポップさというか、わかりやすさでは『イース』のほうが上でしたよね。『イース』って、ビジュアルが『ハイドライド』の1作目に近いんで。

■液晶画面の残像に悩まされたことも

──『ハイドライド』からは絵的にも影響を受けました?

ユウラボ そうですね。でも、中学時代に直接的な影響を受けたのは『イース』と『サーク』。

──『サーク』って、マイクロキャビンの? なるほど、あのふたつは似てますもんね。

ユウラボ MSX2は、ゲーム中にリセットを押したら電源を切るまではV-RAMの画像が残ってるんで、それを保存してカラーパレットをゲームと同じくなるように調整して、それを参考に自分のゲームのドット絵を描いたりしてました。

──すごい子供! あの、『フェアルーン』っていうか、ユウラボさんの描くキャラクターって輪郭に特徴があると思うんですけど、『ハイドライド』って輪郭ないじゃないですか。

ユウラボ ファミコン版はないけど、パソコン版には輪郭あるんですよ。ただ、輪郭で影響を受けたのは『ハイドライド』よりも、『ファイナルファンタジー』と『がんばれゴエモン』ですね。それまでファミコンのキャラクターで黒い輪郭がついてるのはあんまりなくて。

──ああ、そうですね。『ドラクエ』にも輪郭はなかったけど、『ファイナルファンタジー』にはありました。ユウラボさん、ブログに『フェアルーン』の開発エピソードを書かれていて、そこでキャラクターの輪郭線の話をされてましたよね。輪郭線がにじんで苦労したエピソードとか。

ユウラボ にじむというか液晶の残像ですね。あれは3DSに搭載されている液晶画面の特性だと思うんですけど、黒はその部分の液晶がOFFになるんで。

──つまり黒い色を表示しているのではなくて、そこだけ液晶をOFFにして、黒く見えるようにしているんだ。

ユウラボ そうなのかなと。だから、キャラクターに黒の輪郭があると、移動させたときに液晶のON、OFF、ON、OFFが行なわれて、それが残像のように見えるんじゃないかなと思って。他にも、色の濃さが極端に違ったり、色の組み合わせによっては変化が遅くなって、やはり残像が出る。

キャラクターの輪郭
フチを完全な黒で描くと、キャラクターが移動するときに右図のように、にじんで見える。

キャラクターの輪郭
そこでフチを黒ではなく暗い紫に変更。すると、キャラクターが移動したときの残像が軽減!

マップチップの輪郭
マップチップも、左図のように黒フチで描いていたものを、右図のように各オブジェクトと同系色の暗い色に変更することで、3DSの液晶画面上での残像の軽減に成功。

──こういうのは3DSで作り始めてから気がついたんですか?

ユウラボ スマホとかって液晶の性能がいいんで、黒でもちゃんと黒が光ってたから全然大丈夫だったんです。ところが3DSで作り始めたらすごい残像が出て。だけど、プログラム的には問題ないし、なんでやろう……って悩んで、まあハードウェアの仕様上そうなっているなら、違う色を入れてみようって、暗い紫を入れてみたら残像が軽減された。

──へえ、おもしろいなー。遊んでいる側にはわからない苦労があるもんなんですね。

■ドット絵を描くうえで影響を受けてきたゲーム

──他に、ドット絵を描いていて自分なりのこだわりというか、独自のドットテクニックみたいなものがあれば、教えてください。ブログでは「できるだけ描き込まない」なんておっしゃってましたね。

ユウラボ レトロなドット絵っていうのは、どうしても解像度が低いですから。昔のハードウェアは斜めの線や微妙なカーブを描画するのが苦手なので、ドット絵のカクカクっとしたデザインを優先させた方がキレイに見える。たとえば花を描くときも、丸みを表現しようとはせずに、直線をメインにしてデザインします。これはぼくの好みもあるんですが、作業工数を減らす効果もあります。

──そう言われてみれば、人物やモンスターも形は丸っこいけど、ディテールはシンプルですね。これらの可愛らしいキャラクターって、何かからの影響を受けてます? 好きなイラスト、マンガ、あるいはゲーム……。ご自身の美術的なバックボーンと言いますか。

ユウラボ なんでしょうね。マンガも普通に流行ってるものを読むくらいで……。ゲームに関して言えば玉木さん。『ランドストーカー』とか『シャイニング』シリーズの。

──あっ、それだ! 玉木美孝さんとユウラボさんとの間には、何か共通するものを感じます。

ユウラボ あの方の絵柄が好きで、真似して描いたりしてました。あとはドラスレファミリーですね、『ドラゴンスレイヤーⅣ』。あれのMSX2版のドット絵がすごく好きで。

──さっきからけっこう意外なタイトルが出てきます(笑)。『ゴエモン』とか『ランスト』とか『ドラスレ』とか。でも、言われてみると、どれも「ああ、なるほど」と納得です。

ユウラボ ぼくの『魔物スレイヤー』なんかは、完全に『ドラスレ』へのオマージュですから。

○○○○○○○○○●
Ⓒ2009 SKIPMORE
ユウラボさんの作ったFlashゲーム『魔物スレイヤー』。
上の写真はスマホでのプレイ画面で、下の写真はPCでのプレイ画面。
マップやキャラの作りに、確かに『ドラスレ』のオマージュがうかがえます。BGMの音色もMSX2版に似せてある凝りようです。

──大好きなゲームを見て、独学でドット絵の描き方を覚えていったわけですね。

ユウラボ コナミの『ガリウスの迷宮』も好きでした。

──『ドラスレ』も『ガリウス』も横から見た画面ですけど、俯瞰画面よりそっちのほうがお好きなんですか?

ユウラボ いや、ゲームとして遊ぶ場合は、横画面って苦手なんですよ。ジャンプするのがあまり得意じゃないから。でも、ビジュアル的に見ると横画面のものには多重スクロールがあったりしおもしろいんですよね。

第5回へ続く

★記事に登場したゲームの情報★

最新版の『魔物スレイヤー』は2017年5月現在、有限会社ゲームデザインが運営するサイトでプレイ可能です。

ドット絵の匠
インタビューシリーズ❹
ドット絵の新作を作り続ける
ユウラボ 編

トップへ戻る