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ファミ熱!! ゲームの匠

ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❹

ユウラボさん

第1回:自主制作の『フェアルーン』が3DS版になるまで

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影・編集:山本悠作(アンビット)
※取材協力:株式会社MEGAROAD

ユウラボさん写真 ※ユウラボさんは、昔からゲームのドット絵が好きでゲーム開発者になった、という匠なのだ。
(ちなみに素顔はヒミツ)

■ひとり、2週間で作ったFlash版『フェアルーン』

──本題に入る前に、ユウラボさんとスキップモアさんの関係について教えてください。名前をお呼びするときはユウラボさんでよろしいんですよね?

ユウラボ はい。ユウラボは携帯Flashの投稿サイトに投稿するとき使っていたペンネームで、変えるタイミングを逃したままいまでも使っています。スキップモアというのは、ぼくの個人事業としての屋号ですね。

──そうでしたか。いま「Flashの投稿サイト」とおっしゃいましたが、Flashで『フェアルーン』を作ってみようと思った動機はなんだったのでしょう。

ユウラボ それはもう『ハイドライド・スペシャル』の影響です。

Flash版『フェアルーン』の画面
ⒸSKIPMORE
こちらが一番最初に自主制作の無料ゲームとして公開されたFlash版『フェアルーン』の画面。言われてみると『ハイドライド』シリーズの雰囲気に似ているかも!?

──ファミコンの?

ユウラボ ええ。あれが「ファミコンというプラットフォームのままシリーズ化されていたらどうなるか?」というコンセプトがぼくの中にありまして。PC用の『ハイドライド』はどうしても時代の流れでリアルな方向にグラフィックが進化していってたので、そうじゃないもの、ファミコンのポップなカラーで、『ハイドライド・スペシャル2』とか『スペシャル3』が存在してたら、きっとこうなっていたのではないか。それを形にしたものです。

チャレンジ!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム
冒頭の写真でユウラボさんが読んでいたのはPCゲーム攻略本の名著『チャレンジ!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲーム』の4巻目。
PC版『ハイドライド3』の攻略記事が載っている。(発行:電波新聞社)

──それは、なぜそういう考えになったんでしょう。『ハイドライド』シリーズがリアルな方向へ進むことに不満を感じていたとか?

ユウラボ いや、不満はないですよ。それはそれでおもしろいし、リアルな表現も好きですけど、自分が作るとしたら2頭身のキャラクター、彩度が高いグラフィック、それで謎解きを多くして……って感じになるだろうと。

──ひとりで作るから作業量の制約もあるでしょうけれど、それだけじゃなくて、8bit風の2頭身キャラが元々お好きだったんでしょうか。

ユウラボ うーん、なんでしょうね。作り始める時点で全体の容量を100キロバイト以内に収めることは決まっていたので、それが理由でもあったとは思いますが、でも、このスタイルで作りたいっていう気持ちが強かったのも動機としては大きいですね。

──開発期間はどのくらいでしたか?

ユウラボ 2週間ぐらいでしょうか。

──そんなもんですか!? あのゲームがたった2週間で作られているって、ずいぶん早いんですね。

ユウラボ 画面数的には12画面くらいしかないですから。

──ゲームを作ろうと思い立って、まず全体の構想を立てるじゃないですか。そこから具体的な作業を割り出していく。そういう準備の時間も含めて2週間ですか?

ユウラボ そうですね。

──いやあ、仕事の遅いわたしには驚きです。

■スマホ版はプログラマーとふたりで2か月半

スマホ版『フェアルーン』
ⒸSKIPMORE ⒸURARA-WORKS
内藤時浩さんの言葉に背中を押された気持ちで開発したという、スマホ版『フェアルーン』。
キャラの移動は画面下のバーチャルパッドでおこなう。

──Flashゲームを作るのには、そんなに費用はかからないものですか?

ユウラボ 費用とかそういう意識はなかったですね。仕事が空いた時間を利用して何か作ろうかな、っていう感じだったので。あの頃はもう独立して家で仕事をしていたので、時間のやりくりは自由にできました。

──コンピューター1台あればできてしまうなら、開発資金もそう多くは必要としないんですね。では、制作中に苦労したことは?

ユウラボ プログラミングです。ぼくはプログラマーじゃないんで。

──それでもプログラムに挑戦された。

ユウラボ ですね。自分の理解できる範囲のプログラミングだけでゲームを作りました。できないことはやらない。というスタンスですね。

──FlashでRPGを作る場合、どういうプログラミング技術が必要とされるのか、あいにくぼくにはわからないんですけれど。

ユウラボ まあ、普通にボタンを押したらキャラクターが歩く、というくらいのもので。あとはアイテムを取ったらフラグ立てるとか、その程度で作れてしまいますよ。ただ、シナリオを書いた端から実装していったので、テストプレイで「このギミックはわかりにくい」と思っても、簡単には修正できないんですよ。

──そうか、本職のプログラマーじゃないから、複雑な事態になると対処が難しいんですね。

ユウラボ ですから、そういうときはプログラムを修正するというよりも、わかりにくい部分を助けるヒントを入れて対処しました。

──その『フェアルーン』を、次にスマートフォン(以下スマホ)用へ移植しますよね。それはどういうきっかけで。

ユウラボ スマホでもストレスなく遊べる仕様を思いついた的なことをツイートしたら、内藤さん(※内藤時浩=『ハイドライド』の作者)からリプライをいただいてしまい、舞い上がってその勢いで開発を始めてしまいました。

──おお、すごい、内藤さん見てらしたんだ。

ユウラボ それで、とりあえず売り上げなんかは度外視して、自分がやりたいことをやってみよう。でないときっと後悔するぞと思って。

──Flash版は2週間で作ったとおっしゃられましたが、スマホ版を作るとなると、そんな簡単にはいきませんよね。時間はもちろん、開発資金もそれなりにかかったと思うのですが。

ユウラボ 開発資金は、それまでにスマホ用のミニゲームを何本も作っていたので、そこから得られる収益が多少はありました。潤沢ではないけれど、収益があるうちに作りたいものを作っておこうって感じで。

ユウラボさんの作品のアイコン
ミニゲーム開発者として活躍されてきたユウラボさん。
膨大な作品のアイコンを集めて並べてみると、レトロなドット絵のキャラクターも見える。

──こちらの開発期間は?

ユウラボ スマホ版は2か月半ですね。このときはスマホでミニゲームを一緒に作っていたプログラマーに手伝ってもらいましたけど。

──えー、それでも早い気がします。あれを2か月半で作ってしまうのか……。グラフィックを過去作から流用していたりするのかな。

ユウラボ してますね。色なんかを調整しつつ、使えるものは使いまわしで。

──ゲームを作っていて、いちばん時間がかかるのはグラフィック作業だと思うんですが、そこが軽減されるならけっこう時間を短縮することはできますね。スマホ版を作るとき、目指していたことはなんでしたか?

ユウラボ 先ほども言ったように、あとで後悔しないために作りたいものを作っておく、というのがありました。当時はスマホでカジュアルなゲームがたくさん出てきていて、逆にこういう『フェアルーン』みたいなゲームらしいゲームがあまり出ていなかったですから。

──そうですね。わたしも昔のファミコンとかスーファミくらいのゲームが大好きなので、スマホでもつい、そういうゲームがないか探してしまいます。だから『フェアルーン』を見つけたときはバンザイしたんです。

ユウラボ きっと、カジュアルゲームに比べると収益(労力に対する見返り)が低いんですよ。だから作られないのかなと。

■攻略に苦労した体験が思い出になる

──スマホ版を作る際に、仕様的にはどんな目標を立てられましたか? たとえばマップの広さとか。

ユウラボ マップは最初から100画面へ広げよう、モンスターの数もこれだけ増やそう、と決めてしまいました。外枠をがっちり決めて、それを埋めていったら完成するだろうと。

──とても計画的ですね。わたしも過去にはゲーム開発の仕事をやっていましたが、ディレクター視点で仕事をしたことがないので、ユウラボさんのお話をきいていると「すごいな」って感心してしまいます。スマホ版を発表したときは、Flash版のときより反響が大きかったのでは?

ユウラボ いや、Flash版のときも当時はFlash作品を紹介するサイトとかけっこうあって、それに海外のフリーゲームを紹介するサイトにも取り上げられたりしましたから。

──そうでしたか。たしかスマホの『フェアルーン』が出た頃が、スマホの普及率もピークに達した時期だと思うんです。スマホ版が出たからこそ、ぼくのところや、あるいは内藤さんの視界にも届いたのだと思うのですが。

ユウラボ ああ、それはありますね。Flashだとパソコンの所有者とか、一定の年齢層であるとか、ユーザーを選んでしまうところはあります。でも、スマホなら持っている人口が多いから。

──さて、そこから次にニンテンドー3DS版が出ました。そこにはどういう経緯があったんでしょう。

ユウラボ パブリッシャーさん(※フライハイワークス株式会社)から、メールで「スマホの『フェアルーン』を3DSで出しませんか」という連絡をいただきました。移植はフライハイワークスさんがやってくださるという話で。

──それはすごくいい話じゃないですか。

ユウラボ そうですね。なのでふたつ返事で「お願いします!」みたいな。

ニンテンドー3DS用ダウンロードソフト『フェアルーン』
ⒸSKIPMORE ⒸURARA-WORKS ⒸFlyhigh Works
ニンテンドー3DS用ダウンロードソフトとして配信された『フェアルーン』。
レトロなのに新しいドット絵のゲームに注目が集まった。

──3DS版でもユウラボさんは何か実作業をされたんでしょうか?

ユウラボ 追加のダンジョンを入れたので、そのデザインをしました。それから追加のBGMと、あとスマホと3DSでは画面レイアウトが変わるので、そのためのグラフィック素材を作ったり。

──わたし、実はスマホ版のラスボスを倒せていないんですよ。あのー、ほら、ラスボスとの戦闘でいきなりゲームのスタイルが変わるじゃないですか。あれがスマホの操作だと難しくて。それで、3DS版はまだ遊んでいないんですけど、ラスボス戦はどうなるんでしょう?

ユウラボ 基本的にはスマホと一緒ですけど、3DS版では何回か死んだらイージーモードみたいなのが解放されます。

──わ、それは書いても大丈夫ですか?

ユウラボ もう大丈夫ですよ。

──3DSには十字ボタンがあるので、スマホ版よりは操作しやすいでしょうけれどね。スマホ版のときには、あのボス戦に苦情が来たりしませんでしたか?

ユウラボ 賛否両論ありましたね。でも、昔はああいうゲームが多かったでしょう。最後にゲームモードが変わったり、最後だけむちゃくちゃ難しかったりして。

──はい、いかにもあの頃のゲームの“らしい”感じです。

ユウラボ 「難しくてやってられん!」とか「おれはクリアできたぜ!」とかいった共通体験が、ゲームを遊んだ思い出として心に残るものです。いまはネットとかSNSが、そういう体験を語り合う場になってるんでしょうね。

第2回へ続く

★記事に登場したゲームの情報★

※ニンテンドー3DS版『フェアルーン』は2017年5月現在、ダウンロード版が発売中です。
※スマホ版『フェアルーン』は2017年5月現在、iPhone版とAndroid版が無料配信中です。
※Flash版『フェアルーン - Fairune -』は2017年5月現在、スキップモアの公式サイトでプレイ可能です。

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