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ファミ熱!! ゲームの匠

ドット絵の匠・
インタビューシリーズ❸

『FF』のドット絵師 渋谷員子 編

第5回:キャラクターのリアクション(芝居)を描く

※取材・文:とみさわ昭仁
※撮影:木内章浩
※編集:山本悠作(アンビット)
※取材協力:コート・ダジュール 志木店
☆よしみるさん写真

■複数のペンネームの使い分け

ねこもころ
☆よしみる先生の別名義・乙佳佐明のマンガ『ねこもころ』。
全2巻(発行:ソフトバンククリエイティブ)

──ちょっとゲームから離れまして、絵を描くことについてのお話もおきかせください。まず、マンガ家として、これまで描いてきたものでいちばん気に入っている作品は?

☆よしみる うーん、各作品でそれぞれ気に入ってる部分はありますが、よくできたというか、いちばん納得のいく形で描けたのは、乙佳佐明(おとかさ・あき)名義で描いた『ねこもころ』という作品です。

──(同行していた編集者)ぼく、単行本持ってます!

☆よしみる 本当に? ありがとうございます!

──ここに書影を載せましょうね。

☆よしみる キャラクターの女の子たちがワイワイ、キャイキャイする話なんですけど、そのバックボーンには似非量子力学とかを持ち込んで、すごいSFとして作りましたが……、全然伝わらなかった(笑)。

──あれま。

☆よしみる それはスクリーントーンやペン画という旧来の漫画技術の他に、『ねこもころ』から使い始めた3Dの表現があって、自分でモデリングしたものをトゥーンシェードしてからマンガの画面に読み込んで、背景なり建物として活かすという技法です。それがうまく定着したというか、画面の密度が異常に濃く描けていて、とても満足のいく形になりました。

──とくにお気に入りのページをあとで教えてください。

☆よしみる わかりました(笑)。

ねこもころの原稿
『ねこもころ』の原稿。これがそのシーンだ!
背景の構造物や建物は3Dモデリングで描かれている。

──ペンネームは「☆よしみる」さんの他に、いまおっしゃった乙佳佐明など、いくつかありますね。それぞれ由来を教えていただけますか?

☆よしみる ぼくは本名の下の名前をひらがなで書くと、わりと丸い表記の文字が並ぶんですね。

──そのご本名は非公開ですよね。

☆よしみる ええ、いまのところは。なので、その印象を変えずにペンネームを作りたいなと思って決めたが「よしみる」ですね。丸いひらがなの雰囲気を残しつつ、本名とは違う文字を4つ並べる形で。

──「☆」は?

☆よしみる それは目立ちたかっただけ(笑)。

──他に「よしみる徳隆(さとを)」というのもありますね。

☆よしみる それは『五霊闘士オーキ伝』というライトノベルがあって、その挿絵を担当したことと、コミカライズも描かせていただいたんですけど、自分オリジナルの作品じゃないので、ペンネームを若干変えた、という経緯です。

──そして先ほどの乙佳佐明。

☆よしみる これは、いままでの☆よしみるってSFロボットでガチガチのバトルものという印象が強いペンネームだったんですけど、たまたま『ねこもころ』とか、芳文社でガーリッシュっぽい作品の企画が通って描かせてもらうとなったときに、ちょっとペンネームとの印象がかけ離れすぎているので、名前を変えてみたということです。

──ということは、どのペンネームもまだ現役で使い分けているわけですね?

☆よしみる よしみる徳隆はもう使ってないです。いまは、☆よしみると乙佳佐明のふたつだけですね。ちょっとゆるめの、ふわっとした作品は乙佳佐のほうで描いてます。

──なるほど、そうでしたか。ペンネームからも『メタルスレイダーグローリー』の位置付けが見えてきました。

■キャラも、クルマも、芝居をさせるのが好き

「グローリー」のコックピットに主人公が乗り込んだシーン
謎のメタルスレイダー「グローリー」のコックピットに主人公が乗り込んだこのシーン。
ゲーム中では4人全員の表情が芝居(アニメーション)するのだ。

──マンガに限りませんが、絵を描く作業として、キャラクターを描くことと、背景を描くことでは、どちらがお好きでしょう?

☆よしみる ぼくは突き詰めると、芝居を描くのが好きなんですね。ですから、キャラクターだったら顔の表情だけじゃなく、身振り手振りであったり、動きみたいなことでそのシーンを表現するのが好きなんです。メインのキャラクターとサブのキャラクターがいたときに、メインのキャラクターが何か言っていることのリアクションとして、サブのキャラクターも何かの行動を起こす。そういう部分がいちばん描きたいところなんですよ。

──ああ、先ほどもおっしゃっていた、物語を構成する要素で世界を作っていく、ということにも通ずる話ですね。

☆よしみる その場の空気というか、メインの人の芝居を受けてまわりの人たちも芝居をする、みたいなものを描くのが楽しい。それは人間だけにとどまらず、クルマでも宇宙戦艦でもいいんです。クルマがスピードを出しているなら、そのときにクルマの動作(芝居)で“走ってるぞ感”を出したり、“曲がってるぞ感”を出したり。戦艦なら“戦うぞ感”を出させる。そういう芝居を描くのが、すごく好きなんです。

──その芝居を表現する手段がまずマンガであり、さらにアニメーションになり、ゲームでもいろんなものが動くというのは、そのことにもつながってくるわけですね。

☆よしみる そういうことですね。やっぱり動きというのは重要なもの。

──『メタルスレイダーグローリー』も、背景にいる女の子に声をかけると、ふっと振り向いてくれたりとか、演技が細かいですよね。

☆よしみる メインのシナリオじゃないところにも、いろんなリアクションが仕込んであるというのが理想です。映画とかアニメを見ていても、そういう演出がされている作品は好きですね。

──リアクションといえば、あずさというキャラクターが宇宙ステーションでジャンプすると、スカートがめくれてパンツが見えるシーンがあるじゃないですか。あれって怒られなかったんですか?

☆よしみる あれはねえ、他にもっとダメなシーンがいっぱいあったんですよ。

──ほう!

☆よしみる まず最初に、やろうと思ったことを全部入れた仕様を作ったんですが、それは自主規制ということで1回見直しをして。それから、ビジュアルだけじゃなくテキストの内容も「さわる」なんてコマンドできわどいことができたりして、でも、そういうのをマイルドな表現に変えたりして、その修正作業の過程で「ここまでは大丈夫なんじゃないか?」というところで残したのがパンツだった(笑)。

──あれはべつにいやらしい意図はないんですよね。あずさの無邪気さを表現してるんですもんね。

☆よしみる 見えっぱなしじゃなくて一瞬ですし。

──その言い方!(笑)

■『メタルスレイダーグローリー』のソシャゲを!

メタルスレイダーグローリーファンブックリマスター
こちらの絵は2013年に、書籍『メタルスレイダーグローリーファンブックリマスター』の表紙用に描き下ろされたイラスト。
今、新作が出るなら、こんな雰囲気になる!?

────ほぼ終わりに向かっているんですけど、ここでワークスタイルについても教えてください。仕事の必需品とか、仕事環境とか。

☆よしみる パソコンは、ごく普通のデスクトップと、液晶タブレットです。それがメインのシステムで、サブのシステムにワコムから出ている13インチくらいの液タブPCがあって、オールインワンの持ち出せるシステムです。外で仕事するときはそれを持って行く。

──愛用している文具や、独自の道具なんてありますか?

☆よしみる アナログではコピックですね、完全に。

──相変わらずアナログでも描いてらっしゃる?

☆よしみる アナログが必要な状況はまだあるので、もちろん普通に使っていますし、あとサイン色紙なんかを描くときにもコピックは必需品です。

──紙で描くのとデジタルで描くので、どちらが好きとかあります?

☆よしみる 描いてるときに気持ちが高揚するのは、やっぱりアナログですね。絵を描いているときって何がいいのかというと、紙からペンを通じて手に伝わる感触がやっぱりよくて。鉛筆だったらサラサラ描いている感触、ペン画だったらカリカリ引っかく手応え、スクリーントーンを貼ったらそのあとカッターで削るときの感覚。ああいうのは好きですね。液タブも便利ですが、そこが再現されていないのはある意味ぼくにとっては劣る部分なのかもしれない。

──では最後に、話せる範囲でけっこうですので、現在、あるいは今後のお仕事の予定を教えてください。

☆よしみる 基本は『メタルスレイダーグローリー』に関係するマンガを描かせて頂いているのと、それとは別に『メタルスレイダーグローリー』を題材にした、ソーシャルゲームのアプリとか作ってみたいですね。とくに具体的な話が来ているわけではないんですが。

──それはいいですね。ここでもっとアピールしておきましょう。具体的にこんな感じ、というプランはあるんですか?

☆よしみる 基本的にはキャラクターをメインにして、キャラクターとリアクションを交わらせるようなタイプのものを考えています。『メタルスレイダーグローリー』の世界観を使って、アドベンチャーゲームでありながら、もしVRだったらリアクションを取ってもらえそうなやつ。……うまく伝わってますかね?(笑) 本当にVRでやれればいいんですけど、VRでこっちが動作をすると向こうもそれに対してリアクションを取る。そういうやり取りとか空気感、意思の疎通みたいなものが取れるシステム、というイメージです。

──ここでも、やはりキャラクターの芝居を描きたい、というところにつながりますね。どうもありがとうございました。

★記事に登場したゲームの情報★

※『メタルスレイダーグローリー』は2017年4月現在、Wii UのバーチャルコンソールWiiのバーチャルコンソールで配信中です。

『メタルスレイダーグローリー』のLINEスタンプが配信中です。
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インタビューシリーズ❸
ファミコンで最も精緻なドット絵
☆よしみる 編

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