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古川柳男色事情走書    南 ツカサ

其の六十四:年増陰間の事

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  さて、今回は久しぶりに芳町の句を見ていきます。男娼街・芳町は、男色のみならず、女客もたびたび訪れていました。

女でも男でもよし町といい

  駄洒落の句ですが、性のお相手をするのは男女ともOKな街ですよ、というものです。女客としては、御殿女中、独身女性、後家といったところが常連客でした。陰間は一種の女装をして接客に当たりますから、それに女性が熱を上げるというのもなかなか不思議な光景ではあります。

芳町で年増の分は二役し

  陰間は若いうちは、もっぱら男客の相手をしますから、女客の相手をするのは年増になってからということになります。完全に年増になってからは女客の相手をするのも慣れたものらしいですが、その端境期に男女両方の相手をするのはきついものがあったようです。

御代参若衆のもので喰いたらず

  御代参とは、参詣の代理を務める御殿女中のこと。参詣のついでに芳町にも遊びに来ているのですね。しかし、そこで出された若い陰間では、遊び慣れた女中には物足りません。男客には「トウが立っている」と言われ、女客には「へたくそ」と言われてしまう……なんとも切ないものがあります。

女へへのこ男へけつを売り

  身も蓋もない句ですが、陰間とはそういう商売でした。女客が来れば男根を勃起させ、男客が来れば菊門を差しだす。その合間の愛撫に関してはその陰間のテクニック次第ですが、優良なお客を捕まえておかなければならないことに変わりはありません。

御てんもの来てくださんせを忘れかね

  陰間を買った御殿女中が、陰間の「また来てくださいね」という言葉が忘れられないという意です。そのような客を増やすのが、陰間の腕の見せどころでした。
  しかし、女客相手では男客相手とは違う悩みもあったようで、それは次回見ていくことにしましょう。

コラム「古川柳男色事情走書」著者プロフィール
南 ツカサ(みなみ・つかさ)  Twitter

古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。

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