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古川柳男色事情走書    南 ツカサ

其の四十六:大一座の事

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  いつの世も一人で行動するのが好きな人、大勢でわいわいするのが好きな人というのは分かれるものです。普段は一人行動していても、時と場合によっては団体行動につきあうこともありますね。「大一座」というのは、遊郭などに大勢で押し掛ける客のことを言います。遊びくらい一人で行けばいいのにと思いますが、「男のつきあい」というやつなんですかね。
  今回は大勢で遊びに出かけた時の句を紹介します。

馬鹿も有ものよし町へ大一座

  思いきり「馬鹿」と言われている団体さんです。吉原など遊女街なら大一座で出かけることも多かったようですが、芳町にドッと押し寄せるのは、見世の方としても迷惑だったのでしょう。床のお相手をするにも、遊女は廻しがききますが、陰間は難しいですからね。
  芳町に行ってみたいけれど、一人で行く勇気がない男が同志を募ってやってきたんだろうな…と思わせる句です。

跡の祭り野郎の傾城をあげ

  こちらは、祭で血が熱くなった勢いで、芳町に赴いてきたようです。勢いついでに、一番人気の陰間を指名したんですね。気が大きくなっている証拠です。しかし「跡の祭り」と言っているところを見ると、ふとした瞬間に「何故、芳町に来てしまったんだ?」と冷めてしまったのでしょう。でも、時遅し。来た時には「今日は俺の奢りだ!」なんて言ってしまった手前、引くに引けません。おそらくかなりの花代を支払うことになったことでしょう。

大一座美へさすおしのつよいやつ

  集団でいると必ずいるのが、こういうちゃっかり者。周りの人が、良いなと思ってもなかなか勇気を出せず、声もかけられない一番美しい陰間にグイグイいきます。そして往々にして、自分のモノにしちゃうんですよね。こういう人はよほど自分に自信があるのか、それとも黙っていたら相手にされないという自覚があるからなのか、不明です。
  ともあれ、大勢のお客のお相手をした陰間たちに……お疲れさまでした。

コラム「古川柳男色事情走書」著者プロフィール
南 ツカサ(みなみ・つかさ)  Twitter

古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。

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