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古川柳男色事情走書    南 ツカサ

其の三十三:身も蓋もない句たち

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  川柳というのは、もともと「前句附け」といって、「〇〇なものには何がある?」というお題(前句)に、五・七・五の形で答える、という言語遊びでした。よく例に出されるのは「賑やかなこと、賑やかなこと」という前句で「降る雪の白きを見せぬ日本橋」と詠んだものですかね(日本橋は人が多く行き来するので雪が積もることがない、という意味です)。この前句附けから、前句を抜いて独立したのが「川柳」というわけです。
  五・七・五という文型の先輩には「俳句」がありますが、川柳はもう少し庶民に寄ったもの、くだけた人情味のあるものとして受け継がれてきました。しかし、時代を下るに従って「いくらなんでもくだけすぎじゃないか?」という句も登場してきます。今回は、そんな句をご紹介します。

けつをされうんこが中へ入るやう

  ……。えーと、解説は必要でしょうか。まんまです。まんま過ぎる句です。というか、もう少し気を使わんかいっとツッコみを入れたくなる句です。でも、解説しましょう。「けつをされる」とは男色交接( セックス ) を意味します。接吻やら男根( ペニス ) 弄りやらから始まる男色交接の終着点は、肛門( アナル ) への男根挿入・射精となっています。肛門は、本来排泄をする場所であり、注入されるようには出来ていません。よって、本来なら滑らかに出る予定のうんこが、男根によって逆流させられるようだ、と感じられたのでしょう。痔と便秘にはくれぐれもご注意ください。

水馬( すいば ) と見へる男色影法師

  先ほどの句からすると、ちょっとホッとしますね。「水馬」とは、水の中を馬に乗っていく様を表現しています。水の中を歩かせると、馬も暴れます。それを宥めるように背で拍子をとり、腰を押して進めていくんですね。つまり、後背位で交わっている様は、障子越しに見ると、暴れ馬に乗っているように見える、と詠んだ句です。馬に喩えられるとは、よほど激しい濡れ場だったことでしょう。それを傍で見ながら、一句詠んでる作者は何をしていたのでしょうね。

聞きわけのないものおへたへのこなり

  「おへた」とは「勃起した」という意味です。「へのこ」が男根なのは、大丈夫でしょうかね。古語の意味さえわかれば、これも解説不要の一句です。隆々とした男根は、当の本人にもどうにもできない暴君になる模様です。

コラム「古川柳男色事情走書」著者プロフィール
南 ツカサ(みなみ・つかさ)  Twitter

古川柳愛好家。川柳雑誌「現代川柳」所属。

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